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▼その3 いざ診察編
●○●美容外科・初体験?!●○●
超〜ドキドキしながら訪れた形成外科。駅から程近く、まだ建って間もない
ピカピカの近代的なビル 3階にその医院はありました。受付で名前を告げる
と、若い女性がニッコリと「では、こちらでこの書類にご記入ください」と
言って通されたのは、作り付けのソファを12畳ほどのスペースにぐるりと配
した、ゆったりした雰囲気の待ち合いコーナー。予約制のためか、私のほか
には、50代くらいとおぼしき女性が一人だけでした。
住所・氏名などを記入しながら、ななめ向かいに座ったその女性がどうも気
になってしまいます。これまた若い女性の看護師さん(?)が話しかけてい
る内容を聞くとはなしに聞いていると、どうやら彼女は「シワ取り」をしに
来たみたいです。「はい、では本日は○○(注射の名前?)を○箇所ですの
で、8万5千円になります」…え゛っっ! はちまんごせんえん! うわ〜、
キャッシュで払ってるよ〜。カードで払えばポイント溜まるのに…、とかど
うでもいいことを考えつつ、ここってホントに形成外科もやってるのかな?
美容外科のニオイがプンプンする、ていうか今のところどう見ても美容外科
にしか見えないんだけど…、と、はやくも不安に陥ったところで、いよいよ
私の名前が呼ばれました。
診察室で待ち構えていた“院長先生”は、浅黒い顔がツヤツヤして恰幅がよ
く、エネルギッシュで自信満々で羽振りのよさげな、まさにテレビで見るよ
うな“いかにも美容外科医”っぽいキャラの男性でした。…あれ? ここっ
て確か、形成外科に、皮膚科もあったよね? 来るべきじゃなかったのかな
…、と軽〜く後悔しつつも、「あの〜、目、なんですが」と話を切り出すと、
単に二重手術希望と受け取ったらしく、「ああ、目ですね」と先生は弾丸の
ようにしゃべくり出しました。
「二重まぶたにするには、埋没法と切開法というのがあってね…」と、やた
らと血色のいいゴージャス先生は、ものスゴイ勢いで二重手術の説明をし始
めました。やっぱ来るとこ間違えたかな…、とさらに後悔しつつ、でもまあ、
美容外科手術の説明をナマで聞く機会なんてそうそうあるもんじゃないし、
どーせ同じ診察料なんだから、と、取材根性まるだしでおとなしく話に聞き
入る私。そして一通り説明が終わるのを待ってから、私が気にしている「左
目だけまぶたが黒目にかかり、半分くらいしか見えていない」ことを伝える
と、「ああ、それは“眼瞼下垂”というものですよ」
がんけんかすい? 何それ? …すると先生は、まぶたが上がらなくなって
しまう病気ですよ、と言いながら、男性の症例写真を見せてくれました。事
故で片方だけ下垂したというその患者さんはもともと奥二重で、術後は不自
然なクッキリ二重になることもなく、ごく自然に奥二重のまま黒目がちゃん
と見えるようになっています。これよ! これだったのよ! な〜んだ、病
気だったんだぁ! と、病気であることがわかってとってもホッとした(?)
私。内心小躍りしながら質問を続けました。
●○●「がんけんかすい」との出会い●○●
「どんな手術をするんですか? 病気の原因は?」
「簡単に言うと、まぶたを開く筋肉が伸びているのを縮める手術です。先天
の人もいるし、後天的になる人もいるけど、どちらも保険は効きます。術後
は多少腫れますが、日帰りで手術できますよ」
「鏡で見てると気づかなかったんですけど、写真で見ると何かヘンで…」
「それはね、鏡だと無意識に目を見開いて見てしまうからですよ。この鏡を
覗いてみてください。ほら、今、眉が上がっておでこにシワが寄ったでしょ」
そういえば、いつの頃からか私は、写真を撮られる時はいつも目をググッと
見開いて写ろうとしていました。でないと、力を抜いて素のままの表情で写
ったりしたなら、きまってとんでもなく目つきが悪かったからです。思わず
捨てたくなった、あるいは本当に捨ててしまった写真は、知らないうちに気
を抜いている状態で撮られてしまったものばかりでした。
長年の悩みだった「目つきの悪さ」は病気の一種で、保険の効く手術で治る
ものだったんだ! “眼瞼下垂”というものの存在を教えてもらっただけで、
もう私は天にも上る気持ちでした。ゴージャス先生、第一印象はバブリーで
ウサンくさいと思ったけど、なかなかやるじゃん! …ところで保険が効く
となると、手術費用はおいくら??
「3割負担なら、そうですねえ、5万くらいかな」
「私の場合、二重の幅がもともと左右で違ってて、あまり下垂していない右
目のほうが小さな奥二重なんですけど、同じようにそろえることはできます
か?」
「まず左の眼瞼下垂やってから、プラス右は埋没法になるかな〜」
ええ〜、埋没法? てことはやっぱり、プチ整形……………………。
「どうします〜? 眼瞼下垂の手術するんだったら予約しますし、そこまで
やらなくても埋没法だけでじゅうぶん、というんだったら今からでも。10分
くらいですぐにできますよ〜。あ、料金表はこれね」
渡された用紙には、ワープロ打ちで「片目2点留め○万、3点留め○万、両目
2点留め○万、3点留め○万」と、お手頃パソコンの1台くらい買えそうな、
けっこうなお値段が。“2点留め”とは、まぶたの2カ所を糸で留めて二重ま
ぶたにする、という意味。点数が多いほど、取れにくくなるし料金も上がる
ということです。
そのハイパーリアルな金額に『そうだ、ここはやっぱりプチ整形がメインな
んだ』とハッと我に返った私は、「ちょっと考えます…」と、イソイソと医
院を後にしたのでした。 【つづく】
★次回は、眼瞼下垂の知識がどんどん増えていく「情報収集」編です。
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